October 11, 2024
最近の仕事の中において、企業は成長すべきとか売り上げを伸ばすべき、という観念にどうもつまずいてしまう。
正確に言うと、やる気を持っていつも働いているものの、ふとどうして半年に1回ドラスティックに印象を変えたコレクションをやるのかを自問自答してしまう。
エコフェミニズムと言う概念に出会ってからは、より今の資本主義だけが世界ではないと思うようになってきてしまった。あまり詳しくはないので引用すると、エコフェミニズムとは人間による自然の搾取が引き起こす環境破壊と、男性優位の社会の中で女性を取り巻く不平等の根本の構造は同じで、この価値観をオルタナティブなものに変えていかなければどちらの問題も解決しないという考え方に基づくもの、だそうだ。
エコフェミニズムにはいくつかの種類があって、スピリチュアルな要素を含んだものもあるが、今よく考えたいのはソーシャル・エコフェミニズム。男性と女性という分け方よりむしろ支配 / 被支配という観点で見た、資本主義経済のシステムの中で利便性や経済性を重視することによって、人にも環境にも害が及ぶという考え方。家父長制的経済システムの中でないがしろにされてきた、身体や命やメンタルヘルスを重要視するということと、環境や自然を守ることは通じている、ということ。
このエコフェミニズムの実例は、調べると環境問題(水質汚染や森林伐採などの)が多く、それに気づき問題提起するのは女性が多いという内容で、調べるうちに私がもやっとしている内容とこれはまた少し違うような気がしてきた。
家父長制や資本主義によってより多くのものが消費されている事実はあるので、不要なまでにものを生み出したくはないという話には繋がるが、作った服を多くの人に届けたいという思いはある。(これぞ!という服こそ卸には地味すぎて売れないのだけど、、)
人生にはたくさんの支出があって、服より大事なことがある。必要な服だけを買って欲しいし、適当に着ない服を買わないでほしい。特にウィメンズは、いつも新しいものを求められるし、お店に並ぶ服は華やかさを意識しているから、本当にいつも着るものとのギャップも生じる。
いつも百貨店や大手セレクトショップで丸い肩の服を買っているような生真面目な女性が、少し肩の尖った服を着たときにその人の強さや存在感を可視化できる装置になれれば嬉しいと思っている。
とはいえ、、先日行った地元にあるオーベルジュのレストランsowerでの大変美味な料理の中に秘めたアグレッシブな内容や突き放す風味は、自分の食体験を新たな領域に届けてくれるものであったし、それを服に置き換えると、毎日着れる服だけが必要な服というわけではなく、ある一日のためであっても、新たな領域に連れて行ってくれるための服もまた必要な服と言える。
March 22, 2024
日常のありふれたところに愛を感じている
何事もことばにすると軽薄になり消費されてしまう感じがあって、何かをテーマにすることの意味をそんなに感じない。だって服はだれかの手元に渡ってからの方が時間が長いし、そこに作者が意図はいらないと思うから。正直1シーズンの中で、テーマは10回くらい変わる。
一人でどこへでも出かけられる女、RIVER、体と布の距離、BODY LESSON、
I love your body, 存在の耐えられない軽さ、、、
ムードとしては、戦うのはもう一旦良いや、もっと人の体を愛でようという気持ち。体に対しての布のリアクションの積み重ねで服ができあがっていて、その肌と布の距離の差を考え続けていた。人の体の曲線を愛でて、綺麗なその曲線をどう隠したり、袖や裾からどう足や腕を出すかをずっと想像している。
あとは自分たちの好きなものがやっぱり日常やふつうの生活の中にあったり、普通すぎて忘れられがちだったり、価値のないもの、失敗したものなどを愛しいと思う気持ちを大事にしたいと思った。
カウンターカルチャーは言葉的に近いけどしっくり来なくて、そんな言葉はないけどカウンターファッションみたいな雰囲気の言葉をさがしてる。
日本各地を旅して、昔から好きなライトの建築を見て、人は自然とともにあることで健やかな心を保てるという気持ちは再認識できた。湖と森の間で育ってきたこともあるので、自然に近い有機的な雰囲気や自然由来の素材は、元の場所に帰ってきた感を感じる。川や水の存在もそうだ。
人だから、数ヶ月の間でいろいろと考える。1つのテーマに絞ったときの、そのテーマの軽薄さったらない。
存在の耐えられない軽さの映画を見ながら、まだ蒸し暑い8月の夜長。2023.8.28
February 1, 2024
January 8, 2024
子供の頃のおぼろげな記憶に残っている北斗の拳。よく考えたらストーリーも何も知らず、お前はもう死んでいる。の口癖しか思い出せなかったので、一からアニメを見てみることにした。
昔のアニメが好きで、手描きの線の表現と、色彩構成の妙が刺激的だ。
また、ケンシロウの正義が強すぎて口が悪くすぐ殺してしまうところも、普段と戦闘時の躁鬱感も見てて笑ってしまう。ここでも、正しいのに面白い、という条件。
面白いけど、フェミニズムを知ってしまっている私には納得できないセリフや態度が次々と。。
子供の時にこういったアニメを見て、女は守られるのが幸せだと、
男は痛みを我慢するものなのだと、刷り込まれていく。
女が強くてもいいし、男も痛くて泣いてもいいんだぞ。
昨日は映画AALTOを見た。やっぱりAlva Aaltoは偉大だなと喜びのため息をつきたくて見に行った自分を裏切り、全く尊敬できない人格のAlvaと、妻のアイノとアリッサとのやりとりに心が痛む。
Alvaは口が上手で処世術に長けた自由人。アル中風。
アイノはAlvaと子供と仕事を愛した。わたしはAlva Aaltoの建築はそこまで惹かれてはいなくて、人のフォルムや温かみを感じさせる家具やインテリアが好きだった。
Altek のaltekらしさはアイノが作ったものだというし、私が好きなのはアイノだったんだろう。
アイノはAlvaの振る舞いに何度も機嫌を損ねていて、それに追い打ちをかけるようにAlvaは横柄な態度をとる。
アイノ、もっと自分にストレスのかからない生き方を選んでもいいのに、、!
それでも私はあなたにぞっこん、今まで以上に愛してる。という手紙の内容が泣ける。
アイノは病気により54歳で他界。
アイノは幸せだったのだろうけど、幸せでないこともあっただろう。
今よりももっと女性が仕事をするのが難しかった時代、尊敬する夫と子供を持ち、自分の好きな仕事もできて、外から見たら充実しているように見えたと思う。
もっとアイノがAlvaのことを気にかけず心地よく暮らせていたなら、もっと長生きできたのではとも思ってしまうし、仕事ももっと好きなだけできたかもしれない。
それでも、Alvaのいない人生は考えられないと思う気持ちもわかる。
今でも多くの働く女性が、キャリアか出産という2択に迫られているなかで、アイノの存在は希望とも言えるし、アイノもきっと、たくさん悩みながら生きたんだろうなと思う。
そう思うだけでも勇気が湧くし、明日を頑張れそうだ。
読書が不得意で上野先生の女ぎらいを読むのに1年くらいかかった。
救いがなかなかなくて、読んでいくうちに精神的にダメージを食らって、もうだめじゃん。という気持ちになり精神安定剤の処方をもらうまでに。
最後の方の、
フェミ二ストとはみずからのミソジニーを自覚してそれと闘おうとしている者のことだ
という言葉でやっと救われ、読書を終われそう。
いつだって悩んでいて、より良く生きていきたいと思っている。
女という性別に生まれたが故の複雑で根深い自己嫌悪を、一生かけて解きほぐしていくんだ。
March 2, 2023
October 9, 2022
February 6, 2021
May 29, 2020
March 4, 2020
October 25, 2019
January 28, 2019
May 7, 2018
October 30, 2017
August 24, 2017
アントワープでやっているマルジェラの展覧会に行ってきました。
展示は、他の写真でも見られるように双方の共通点のある服を並べて展示し、マルジェラが2つのブランドをどう呼応させたかというものが一堂に見られる展覧会です。
多くはモデルが着用する映像や、その当時作られた映像、写真と一緒に展示されていて、当時の背景と共に見られるようになっています。
全体で118体の洋服(マルジェラとエルメスが半分ずつくらいで)あって、15くらいのテーマをごとに紹介しています。シルエットとか、レイヤードとか、ニットとか、、etc.
展示は同じように、繰り返し、2つのブランドをあらゆるテーマで比較します。最初のうちは行儀よく2つのブランドの仕上がりを比較しながら進むのですが、だんだんそれを繰り返しているうちに、この二つの服の違いを頭の中でぼーっと考えていきます。
彼はデザイナーとしてほんとうに優秀だなあと思う。この2つの何が違うかって、マルタンマルジェラの服は、そのアイディアやクリエーションでそのどこにでもありそうなただの生地をめちゃくちゃ価値あるものに変換してる。どんな生地を使っても価値を増幅させるのがデザイナーの仕事だとしたら、すごい仕事人だ。ここ数年、高級品をつくることに専念している自分の中に爽やかな風が吹いた気がした。
そうやって足を進めて行くと最後の方にhermesのlosangeをテーマにしたブース。スカーフをケープにしたエルメスのシックな黒のトップスがあり端は手できれいにまつられたいかにもシルクの高級品、その奥に、古着屋に売っていそうなスカーフを組み合わせたマルジェラのドレスと、その時期に作られら歓声の上がり続ける映像。
マルジェラが、guerrisol(ゲリソル、パリにたくさんある安い古着屋)に行くのも好きだったと聞いたことがあり、その映像と服の背景にパリの18区にある古着屋の古着の山で探し物をする混血の親子を想像した。
一つのアイコニックな高級スカーフのイメージと、1ユーロの服を選ぶ人が一つの線状に並んだ感じがして感動せずにはおられなかった。歓声が全ての生を祝福しているように思えた。何度か展覧会を往復したけど、毎回最後のその場面で涙が出た。
時代的にはエルメス2004年のアイテム、マルジェラ1992年のアイテムと遡るけれども、逆に深層に入って行くような感覚でつながっていった。
自分なりの文脈で、ある意味うがった個人的な見方かもしれないけれど、自分の知識の中でそういう風に展覧会を見ました。
July 14, 2017
April 9, 2017
April 4, 2017
March 25, 2017
November 1, 2016
May 3, 2016
April 3, 2016
March 30, 2016
December 15, 2015
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