December 17, 2024
忘れられたもの、選ばれなかったもの、誰にも見られるはずじゃなかったこと、物事のB面、日常すぎて気にもとめない瞬間、第二の性。
忘れられがちなものを拾い上げ再提案し、再評価していくこと。
PHOTOCOPIEUのフィロソフィーの一つとして大事にしてきたことを、メインテーマとして構築した2024AWのシーズン。
2024年3月14日に行われた PHOTOCOPIEU 2024AW Exhibition at Hikarie Hall A での出来事を振り返る。
PHOTOCOPIEU初の展覧会開催となる今回のエキシビジョンでは、ヒカリエホールAという壮大なスペースを暗闇と音楽で宇宙空間のように包み込んだ。むしろ、包み込むしかなかった。この準備された空間はあまりにも大きかったから。
日本のファッションウィークではこの空間でファッションショーをやることが是とされているようだ。ショーをするべきか、どのような見せ方が一番私たちの服に似合うのか、心配半分でマネキンに着せつけて近くで見ていただくプレゼンテーションのあり方に可能性を見出した。
私たちの服は、毎日朝に服を選ぶ際に生じる心と服のズレを拾い上げていくことから始まる。洋服のシーンは日常。服を作る際にデザイン画のまま完成することは稀、生地の見え方や他とのスタイリングで形が変わっていくことが常なので、最終的に個々の服がどのようなスタイリングに帰結するかはその場の臨場感の中で見えてくる。決まったスタイリングを提案することは楽だけれど、どう覆るかわからない中で起きる化学反応を期待している。
御多分に洩れず、 今回の発表においてもスタイリングを作る中で物語は紡ぎ上げられた。VISIONS AND PARADOXのスタジオを借りた1週間のスタイリング期間の中、音楽や空間の全体像が見えてゆき、 より、どこかにいる誰かを想像した。あえて、街ですれ違う普通の人たちを描き、その人たちがシルクやカシミア、仕立てのいいジャケットを着ていることを理想とした。逆説的には、街ですれ違う通勤途中のどこかの誰かの日常を拾い上げて作品化したかった。人それぞれ立場が違い、思いが違うことを受け入れること。それを少し可視化することは、我々がこの世界全体の群像劇の中の一人であることを思い出させ、他人に共感することによって、より人に優しくなれることにつながるのではないか。
そんな思いを乗せた、マネキンの下に美術作品のように、しかし紙を4つ折りしただけの華奢な存在感のキャプションがそれぞれの内側をほのめかし、お客様それぞれがきっと”地球のどこかにいる誰か”を想像していただけたのではないかと思う。
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