中学生3年生の私は、絵とファッションが好きだったから服のデザインをしたくて美術科のある高校に通いました。
無意味なのではないかと思いながら、ひたすらデッサンをしてものを見る力を養いました。真っ過ぐに線を引くことにひたすら集中しました。
高校を卒業してからは、画材が生地に代わり、表現の幅が広がって服作りに熱中した。同時期には原さんや深澤さんのデザインの本に感化されて、川久保さんとの面接で負ける服が作りたいと言って嗜められた。
会社員時代の4年間は手は動かさないで服を作った。でもどこか枯渇していて、枯れた心を潤すようにパリに行って、また別の角度の感性からの服作りを体感した。自分のブランドと会社を始めて、5年経った。まだ生地と戯れることに飽きてない。
私は、ただ服を作ることが好きなとても地味な人です。
気持ちの向かう先は、いつも陰ながら努力をする人。
誰も見ていなくても、自分の信念のために手を抜かない人。
とても美しい、理想の姿。
服を、どんな人に着て欲しいかと聞かれる。
おしゃれに無頓着に泥臭く働く人にこそ、その姿を讃える佇まいを付与したい。